「導入したいけど、工事が…」――その一言が、保全改善を止めている
設備の振動監視に興味はある。予知保全の重要性もわかっている。 それでも、なかなか一歩が踏み出せない現場担当者の方から、こんな声をよく聞きます。
「配線工事の費用と手間がかかりすぎて、上に提案しにくい」
「稼働中の設備に後付けで工事を入れるのは、ライン停止のリスクがある」
「まず試してみたいだけなのに、大がかりになりすぎる」
これは、決して珍しい悩みではありません。 従来の有線式センサシステムは、信頼性が高い反面、電源工事・配線ルートの確保・制御盤への組み込みなど、導入前の準備だけで大きなコストと時間が発生します。
この課題を根本から変えるのが、920MHz帯 LoRa無線を採用した無線振動監視システムです。
LoRaとは?――”長距離・省電力”を両立した産業用無線技術
LoRa(Long Range)は、IoT向けに開発された無線通信技術のひとつです。 Wi-FiやBluetoothとは異なり、以下の特性を持ちます。
| 比較項目 | Wi-Fi / Bluetooth | LoRa(920MHz帯) |
| 通信距離 | 数十m〜100m程度 | 見通し500m以上 |
| 消費電力 | 高め | 極めて低い |
| 障害物への強さ | 弱い(壁・金属に減衰) | 強い(低周波帯で回折しやすい) |
| 主な用途 | スマホ・PC接続 | 産業IoT・屋外センサ |
特に工場・プラント環境では、金属製の設備や配管が電波を遮りやすいという課題があります。 920MHz帯の電波は波長が長いため障害物を回り込みやすく、Wi-Fiが届かないような環境でも安定した通信が期待できます。
これが「なぜ設備監視にLoRaが選ばれるか」の技術的な理由です。
“電池駆動×長距離無線”が現場にもたらす変化
LoRaの低消費電力という特性は、センサの電源設計に直結します。 つまり、外部電源が不要=市販電池で長期間動作するということです。
イージーメジャーの無線振動監視システム「WASABI」では、この特性を最大限に活かした設計を採用しています。
【WASABIの主な特長】
① 市販電池で最大10年運用
センサ信号処理・無線・電池の低消費制御技術を組み合わせることで、子機(センサユニット)は電池で最大10年間の動作が可能です。電池交換のサイクルが長いため、維持管理の手間も大幅に軽減されます。
② 見通し500m以上の無線通信 + 中継機で広域対応
1台の親機に対して子機を最大1,200台まで接続可能。さらに最大2段の中継器を組み合わせることで、広大なプラントや工場敷地全体をカバーできます。
③ 電源工事・配線工事が一切不要
子機は磁石・ネジ・接着剤など複数の取付方法に対応。稼働中の設備に対して、工事停止なしで設置が可能です。
④ 防爆認証取得済み
石油・化学プラントなどの危険区域での使用を想定し、親機・子機ともに防爆認証を取得。安全規制の厳しい現場にも対応します。
どんな設備・現場に向いているか
WASABIが特に力を発揮するのは、次のような設備・状況です。
設備の種類
ポンプ、ファン、ブロワ、電動機、減速機など、主に回転機械と呼ばれる設備全般が対象です。
環境・状況
・配線ルートが確保しにくい屋外設備・高所設備
・騒音があり、人が容易に立ち寄れない場所にある設備
・石油・化学・鉄鋼・電力・ガスなど、危険区域を含む大規模プラント
・人が近づきにくい高温・危険エリアの設備
有線との使い分けも大切
LoRa無線がすべてのケースに適しているわけではありません。 高温環境での長期使用や、FFT精密診断を常時行いたい場合は、有線式センサの方が適していることがあります。
イージーメジャーでは、有線式の設備監視用振動センサも取り扱っており、現場の状況に合わせた最適な構成を提案することが可能です。無線・有線それぞれの特性を理解した上で、現場にとって本当に使いやすい監視体制を構築することが重要です。
まとめ:導入を止めていたのは”技術の問題”ではなかった
設備監視を導入したくても踏み出せない最大の理由は、多くの場合「工事コストと手間」です。 LoRa無線と電池駆動を組み合わせたWASABIは、その障壁を取り除くために設計されたシステムです。
・配線工事・電源工事が不要
・市販電池で最大10年動作
・広域プラントにも対応するスケーラブルな構成
「まず1台、試してみる」その一歩が、現場の保全体制を変える最初のきっかけになります。